「介護職でのやりがいを感じるときは?」という問いに、「患者さんに感謝されたとき」というような答えが多く返ってくるのだそうです。もちろん、感謝の気持ちが嬉しいからという理由だけで働いている人ばかりではないでしょう。
しかし、介護職は患者との人間関係が大事です。そういった点に良さを見い出せなくなっている場合、やりがいをあまり感じなくなっている可能性があります。
そんなときには、マズローの欲求5段階説で自分の働く目的を考えてみるといいでしょう。ここに出てくる5つの欲求とは、食べたい、寝たいなどの「生理的欲求」。家を失いたくない、健康でいたいなどの「安全欲求」。仕事をして社会に参加したい、といった「社会的欲求」。人に自分の存在を認めてもらいたいという「尊厳欲求」。さらに、自分の能力を生かして世の中に表現していきたいという「自己実現欲求」があります。
生理的欲求を1番下に置き、自己実現欲求を頂点にしてピラミッド型に並べたものをマズローの欲求5段階説と呼んでいるのです。頂点にある自己実現欲求に、仕事をする目的が近づくほど、やりがいを感じやすくなります。例えば、「食費のため」よりも、「仕事ぶりを誰かに認めてもらいたい」という強い目的で働くと、仕事での充実感を感じやすくなるのです。
「食費や生活のため」という理由だけで介護職につくと、やる気がなくなっていく可能性があるので、5つの欲求の中で「1番大事にしているものは何か」をよく考え直してみると、「なぜこの仕事をしているんだろう?」という問いに対処しやすいです。
介護の仕事が長く続く人は、「ありがとう」と患者さんから感謝されることで、自己実現欲求を満たしている人なのだと言えるでしょう。